2月17日 晴れ

出勤日。他の人は有休だったり出張だったりで所長と二人きりだった。気を使わなくて良いのでかえってその方が楽だ。来週も土曜日出勤である。土曜日に仕事をするのは、来週で人生最後にしたい…。


男子フィギュアスケートは、羽生選手が金、宇野選手が銀と、日本としては最高の結果に終わった。羽生選手は全体を通して鬼気迫る演技を見せたものの、二度転倒しそうな瞬間があり、それを根性で堪えて金メダルを掴み取った。彼のこれまでの発言から、常に完璧を追い求めているような印象があったので、この内容では彼自身は満足しないのではないか(実際にフリーだけの得点はアメリカの選手に次いで2位だった)と思ったが、金メダルに決まった瞬間、感極まったように涙を流していたのが意外だった。それだけプレッシャーと怪我の不安が大きかったのだと思うと胸が熱くなった。今できるベストを出し尽くし、自分を許せる演技が出来て本当に良かったと思う。演技中の羽生選手は柳のようにしなやかで美しかった。年齢を重ねても中性的な魅力を失わないのは、持って生まれたものなのか、それとも努力のたまものなのか…。稀有な存在である。

一方で、宇野選手は「自分にとって五輪は特別な大会ではない」と話し、終始淡々としていた。冒頭に転倒してしまったものの、その後は転倒の影響を微塵も感じさせず、なめらかで丁寧な素晴らしい演技だった。銀メダルを首から下げても、嬉しそうでも、悔しそうでもなく、かといって無理をして強がっている様子もなく、あくまでナチュラルに、平常心でインタビューを受ける姿は、羽生選手とは対照的だった。むしろ周囲の熱狂に若干引いてる感じすらあった。オリンピックって、やっぱり特別な大会じゃないかと思うのだが…。宇野選手の目指すところはどこなのだろう。どういう原動力でフィギュアスケートを続けているのだろう。完全に自分との戦いなのだろうか。もし、冒頭に転倒せず、完璧な演技をして優勝、もしくはそれでも羽生選手に届かなかったとしたら、もう少し嬉しそうだったり悔しそうだったりする姿が見られたのだろうか。もっといろんな表情が見てみたい。とても気になる存在になった。